記事一覧
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n(えぬ)週遅れの映画評〈10〉『ミセス・ハリス、パリへ行く』──すべてをひとつに、縫い上げて。|すぱんくtheはにー
「n(えぬ)週遅れの映画評」もついに10回目……ということで、noteからの転載ではなく書き下ろしのスペシャル回です! 何がスペシャルなのかというと、これ、普段はあまり取り上げないタイプの作品なんですよね。いつもならどこのシネコンでもやってるような邦画とか、劇場アニメの話をすることが多いんだけど、今回の『ミセス・ハリス、パリへ行く』はいわゆる「単館系の洋画」なんです。こういうのもできるんですよ! -
打ち明ける勇気──『映画 バクテン!!』に見る自己開示の難しさ|Kaz
2022年夏に公開された『映画 バクテン‼︎』は、青年期の高校生が「自己開示」を行うことの難しさとその重要性をリアルに描き出した作品である。本作では主要なキャラクターが自分の気持ちを周囲にうまく伝えられず、人間関係にさまざまな支障をきたしている。 -
京都喫茶紀行〈1〉ELEPHANT FACTORY COFFEEのみつけかた|倉津拓也
思想家の岡倉天心によって書かれた『茶の本』は1906年、日露戦争の終結後に出版された。そこには以下のような文章がある。 -
桜の森の眼差しの下──アニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』後期オープニング論|あにもに
2020年に放送が開始されたテレビアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』には、テレビアニメの本編にも原作のスマートフォン用ゲームにも描かれなかったもうひとつの “顔” が存在する。それはテレビアニメにとって不可欠な「オープニング」の映像である。 -
《エンキリディオン Enchiridion》——山上徹也容疑者の未発表論文「哄笑」を読む|壱村健太
哲学者の仲正昌樹は、かつてキリスト教系の新興宗教団体「統一教会(現・世界平和統一家庭連合)」の信者であり、その当時の宗教体験を語った自伝的著作(『統一教会と私』、論創社、2020年)のなかで、次のように述べている。 -
n(えぬ)週遅れの映画評〈8〉『貞子DX』──目覚めたのは、「ダルい」呪い。|すぱんくtheはにー
デジタル・トランスフォーメーションッ! 貞子! ディィッ!! エェェエックスッッ!!!……つってね。ごめん、なんかやってみたかっただけ。いやでもね、『貞子DX』はそのぐらいテンションブチ上がりしちゃう傑作でした。 -
ここでもあるどこかへ──『ほしのこえ』と故郷喪失者の詩学|てらまっと
あれから10年以上の月日が流れた。仮設住宅で暮らしていた被災者の大半は復興公営住宅に移り、メルトダウンした福島第一原子力発電所の廃炉作業も地道に進められている。唯一、全住民の避難が続いていた福島県双葉町では2022年8月に避難指示が一部解除され、ようやく居住が可能になった。震災直後には50万人近くにのぼった避難者の数も、いまでは3万人余りにまで減少しているらしい。 -
n(えぬ)週遅れの映画評〈7〉『映画 デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』──無責任に、手を伸ばせ。|すぱんくtheはにー
キッズ向けのアニメや特撮には「3年入れ替え」説というのがあってですね、子供たちはだいたい3年でそれまで見ていたシリーズから卒業していく、みたいな見方があるんですよね。「仮面ライダー」シリーズなら『ゼロワン』(2019)から入った子供は『セイバー』(2020)を挟んで『リバイス』(2021)で卒業、みたいな。 -
【対談】細田守が描く「継承」と「共助」──『オマツリ男爵』から『竜とそばかすの姫』まで|noirse × 志津史比古
細田守は、今敏や新海誠と同様、「映画」という形式で作品を発表することを選んだアニメ監督と言えます。ここでは、『オマツリ男爵』から最新作の『竜とそばかすの姫』(2021)まで、細田監督の長編アニメ映画をまとめて検討してみたいと思います。 -
「おはなし」というユートピア──東直樹から読む『タコピーの原罪』|きゃくの
2022年上半期最大の話題作のひとつ、タイザン5の『タコピーの原罪』の最終話は、ここまでこの作品の行く末を追いかけていた読者を大いに驚かせるものでした。全編にわたって愛憎渦巻く人間関係を丹念に描き続け、ひとが誰かを好きになり、あるいは嫌悪するに至るには何が求められるか、その過程をリアリスティックに示そうとしたこの作品が、連載中からSNSを中心に大きな反響を巻き起こしてきたことはいまだ記憶に新しいでしょう。