記事一覧
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多摩川から考える(1)──ビートたけし/北野武における境界性とその寓意について|壱村健太
漫才師、コメディアン、テレビタレント、国民的スター、文化人、映画監督、役者、演出家、歌手、小説家……。肩書はなんでもよいが、戦後日本が輩出したもっとも偉大な表現者のひとりであるビートたけし/北野武。 -
多次元性新生児──古谷利裕の作品がゴミまたは糞であることの可能性|永瀬恭一
わけのわからないものがある。少し見て、とりあえず異質であることは感じるのだが、それは、異質ではあるけれども美しい、のではない。とにかく異質なのであってその異質さはどこにも結びついていない。 -
かつて「少女」だったオトナたちへ──STAR☆ANIS《カレンダーガール》論|萱間 隆
近年では、『プリパラ』(2014−17)や「プリキュア」シリーズ(2004−)といった女児向けコンテンツが批評の対象とされることが一般的になってきています。こうした作品群は子どもをターゲット層としながら、大人にとっても見るべきものがあるとされ、ファンによって熱心に語られてきました。 -
瞬間、人生、永遠──『鬼滅の刃』の3つの時間|きゃくの
ごく個人的な話題から始めたいと思います。およそ10年ほどまえ、高校生だったころ、わたしは人並みに熱心な「オタク」でした。とにかくアニメや漫画、それからライトノベルがすごく好きで、多くの時間を作品の鑑賞にささげていました。 -
日常における遠景──「エンドレスエイト」で『けいおん!』を読む|志津史比古
「セカイ系」では、非日常的な状況を持ち出すことで、日常の価値を逆照射しているところがあった。こうした日常の価値を、非日常的な設定を持ち出すことなく、率直に称揚していく作品が「日常系」なのではないか。 -
【座談会】日常のゆくえ──京アニ事件から『ぼっち・ざ・ろっく!』まで|舞風つむじ × noirse × てらまっと
この座談会では、2010年代半ば以降の「日常系アニメ」について考えていきたいと思います。また議論にあたっては、2014年に開催されたシンポジウムの発表原稿を編んだアンソロジー『日常系アニメのソフト・コア』が叩き台になると思い、同論集の寄稿者であるnoirseさんとてらまっとさんをお呼びしました。 -
陰謀論者の夢──アーレイ・バーク試論(2)shoot:射撃/撮影|壱村健太
前世紀末、日本の映画監督、小説家、批評家たちが、同時代のアメリカ映画の現状をめぐって座談会をおこなった。 -
陰謀論者の夢──アーレイ・バーク試論 (1)霧、襲来|壱村健太
あまり知られていないが、2013年にアメリカ国家安全保障局(NSA)が極秘に運営していた大量監視システム(PRISM)の存在を暴露した内部告発者エドワード・スノーデンは、日本に滞在していたことがある -
失われた星を求めて──アニメ『美少年探偵団』のクィア・リーディング|あにもに
2021年に放送された『美少年探偵団』は、西尾維新の同名小説を原作とするテレビアニメである。西尾維新の〈物語〉シリーズと同様、本作もアニメーション制作会社シャフトが手掛けている。 -
探索せずにはいられない!──『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に宿る「ハズレの美学」|すみ
2017年に発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、ゲームファンなら誰もが認める傑作である。そもそも『ゼルダの伝説』に始まるシリーズ自体が高く評価されており、とりわけ5作目の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は長らく「史上最高のゲーム」と見なされてきた。