2022年7月– date –
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映画批評
脚本家・會川昇とフィクションの戦後〈2〉故郷喪失者のフィクション──『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』|ねりま
會川昇を「戦後」の脚本家として読む。その試みの端緒として、本連載の第1回目では『機動戦艦ナデシコ』(1996−97)を取り上げ、戦争という出来事のなかで、フィクションを読むこと、語ることにおいて生じる緊張関係を論じた。政治的動員とフィクションとが絡み合う「戦争」の局面をくぐり抜け、第2回目でいよいよ我々は「戦後」の時空へと導かれる。 -
アニメ批評
交換可能性、あるいは不可能性と桃果の倫理──幾原邦彦『少女革命ウテナ』から『輪るピングドラム』へ|籠原スナヲ
『少女革命ウテナ』と『輪るピングドラム』には、大きな違いがある。端的に言えば、『ウテナ』では周縁に追いやられてしまった問題が、『ピングドラム』では物語の中心に置かれているのだ。その問題とは、人間が「かけがえのない」(=交換不可能な)存在であると同時に「かわりがきく」(=交換可能な)存在であることをめぐる問題である。 -
映画批評
n(えぬ)週遅れの映画評〈5〉映画『ゆるキャン△』──バイクの轍が、星座になる。|すぱんくtheはにー
えっとね、この作品全体を貫いているものが〈ずっとあるもの〉と〈なくなっちゃうもの〉の対比なんですよね。例えば冒頭、高校時代のキャンプのシーンで富士山をバックに花火が上がるじゃないですか。当然、花火っていうのは一瞬だけ美しく輝いて消えていくもので、それに対して富士山っていうのはまぁ、千年単位とかでそこにあるわけですよね。
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